Column コラム

日本とセブをつなぐNew Bridgeは 未来への始まりに過ぎません。

© CEBU navi SAKURA | vol.9 May-Jun.2017

日本とセブをつなぐNew Bridgeは 未来への始まりに過ぎません。

日本とセブをつなぐNew Bridgeは未来への始まりに過ぎません。
そして今年、新たな橋がかけられようとしています。
セブの夢をつなぎ、新たな第一歩へ。

ニューブリッジ(マルセロ・フェルナン橋)
1999年開通。全長1237メートル。アプローチ道路を含めると約2200メートルとなる。中央の橋脚スパン幅は185メートル。片側2車線あり歩道が併設されている。日本で開発された「エクストラドーズド橋」という技術で建設されたフィリピンで最も幅広く長い橋。

次なるメトロ・セブへ

マクタン島からセブ島へ行くときに渡る橋が、ニューブリッジ(通称)です。セブへ渡るときに「セブへようこそ!」と書いてあるプレートを橋に見つける人も多いでしょう。この橋は日本のODA(政府開発援助)により、鹿島建設がメインとなって建設されました。橋が完成したのは21世紀直前。20世紀後半、メトロ・セブの経済成長を担ってきたのがオールドブリッジでした。しかし、そのキャパを超える交通量が予測されていたため、ニューブリッジの完成は多くの人々に歓迎されました。

ニューブリッジが完成して18年以上。現在、マクタン島にある輸出加工区へ、セブ島から毎日数万人が通っています。ここには多くの日系企業が進出し、その比率も高く親日家の多いエリアです。

さらにそのニューブリッジの存在感を強めるのが、2020年、コンソラシオン沖に完成する新国際コンテナターミナルです。マクタン島で作られた製品は、ニューブリッジを渡り、新国際コンテナターミナルから世界へ送られることになるでしょう。メトロ・セブには手が器用で真面目なセブアノがたくさんいます。彼らが良き働き手となれば、国内外を問わず、ますますメーカーの誘致が進むはずです。

しかし、このニューブリッジは始まりに過ぎません。私たちはまだ完成前のメトロ・セブしか見ていないのです。

日本とセブをつなぐNew Bridgeは 未来への始まりに過ぎません。

ニューブリッジ脇の岸壁で、炎天下の中、釣りにいそしむ若者。

日本とセブをつなぐNew Bridgeは 未来への始まりに過ぎません。

ニューブリッジのマクタン島側にあるのどかなミレニアムパーク。

日本とセブをつなぐNew Bridgeは 未来への始まりに過ぎません。

マクタン島からセブ島に渡るときに目にできる歓迎プレート。

日本とセブをつなぐNew Bridgeは 未来への始まりに過ぎません。

ミレニアムパークで遊ぶ愛嬌たっぷりの子どもたち。

メトロ・セブが さらなる国際都市へと 変わり始める!

20世紀後半以来、メトロ・セブの経済を支え、奮闘してきたオールドブリッジ。この橋ができるまでは、バンカーボートやフェリーが交通の要でした。橋ができたことで、その様相は劇的に変わりました。1980年代後半には料金所が撤去され、交通量は大幅に増加。1990年代には船舶の衝突事故、台風被害などが重なり、車両制限が5トン以下になりました。それでも10トン以上の車両が行き交い耐久性は限界に達していました。
その後、ニューブリッジ、南沿岸道路、トンネルが日本のODAで建設され、交通渋滞の緩和に一役買いました。南沿岸道路は、マクタン・セブ国際空港からタリサイ市までつづく、メトロ・セブの大動脈です。しかし、21世紀に入っても交通量は増え続け、その限界は近づきつつあります。メトロ・セブは2050年には現在の2倍の人口になるといわれ、交通インフラの整備は待ったなしの状況です。

そこで始まるのが第三の橋。香港系企業による建設が始まろうとしています。韓国系企業による新国際コンテナターミナルの建設と同じく、2020年の完成予定です。

計画はこれだけではありません。現在のセブ国際港は、SMモール近くの北開発エリアですが、この関連事業がコンソラシオン沖に作られる新国際コンテナターミナルに移転予定です。加えて、そのセブ国際港跡地には新フェリーターミナルやスカイウォークの計画があります。まだ可能性の話ですが、将来、このエリアには大きな商業施設やウォーターフロントが整備されるかもしれません。

現在、SMシーサイドがある開発エリア/サウス・ロード・プロパティズ(SRP)では、すでにホテルやレストランを含むウォーターフロント、マリーナ、街の開発が始まろうとしています。それはフィリピン国内の大手開発企業とセブ市の共同開発です。今はまだ何もありませんが、今後5〜10年で、SRPはその姿を大きく変え、たくさんの人々を魅了することでしょう。

日本とセブをつなぐNew Bridgeは 未来への始まりに過ぎません。

オールドブリッジ
(マンダウエ-マクタン橋/オスメニャブリッジ)
1972年開通。全長846メートル。橋の設計から建設まで、すべてをフィリピン人技術者によって行われた。二車線の道には1980年代後半まで料金所があったが取り壊され、その跡もない。現在、バイクタクシーやジプニー、タクシー、トライシクルが行き交い、日々、交通量は増え続けている。

日本とセブをつなぐNew Bridgeは 未来への始まりに過ぎません。

日本とセブをつなぐNew Bridgeは 未来への始まりに過ぎません。

南沿岸道路とトンネルは日本のODAによって、日本の鹿島建設とフィリピン企業が建設。日本の都市部にあるトンネルと同じ完成度が感じられる。2010年に施工されトンネルの全長は610m。

日本とセブをつなぐNew Bridgeは 未来への始まりに過ぎません。

南沿岸道路。日本企業が大きく関わっていることも含め、サウス・ロード・プロパティズ(South Road Properties)は、セブの多くの人々に認知されている主要道路エリア。完成度は日本の国道や高速道路と同じように見える。多くの車両がここでは渋滞から解き放たれ加速する。2020年にはこの辺りに橋がかかり、さらに交通量増加が予測できる。マクタン島から、ジンベエザメで有名なオスロブへのアクセスがよくなる。

日本とセブをつなぐNew Bridgeは 未来への始まりに過ぎません。

日が暮れてからの南沿岸道路。道を照らす照明色は日本の高速道路とよく似ている。右側通行でなければ日本の道だと錯覚するほど。交通量は途切れることがない。

魅力たっぷりの新たなメトロ・セブへ

日本とセブをつなぐNew Bridgeは 未来への始まりに過ぎません。

日本とセブをつなぐNew Bridgeは 未来への始まりに過ぎません。

全ての開発が完成を見るのは、2030年以降となるでしょう。セブ市の南沿岸エリアと北開発エリア、その間に位置する旧市街は、巨大な観光商業エリアになります。

コンソラシオン沖では新国際コンテナターミナルがさらに巨大化し、セブ産業界の大きな力となり世界的な国際港となります。

マクタン島の東沿岸には今以上のビーチリゾートが開発され、その強みはさらに増します。商業、産業、リゾートのそれぞれでメトロ・セブは大きな成長性を秘めています。セブから世界へ、世界からセブへ。それはシンガポール、香港、マカオ、上海を超える国際港湾都市になる可能性です。

一方で、市内の交通インフラや環境問題は危機的です。その点については2013年、横浜市が環境都市構築のために手をあげています。日本には公害や環境破壊で苦しみ、立ち直った経験があります。そのノウハウをセブに生かそうという試みです。

日本だけでなく様々な国や企業がメトロ・セブの成長に注目し、期待を寄せています。めまぐるしく変わる未来。これからがメトロ・セブ躍進の本格的な始まりです。

日本とセブをつなぐNew Bridgeは 未来への始まりに過ぎません。

シェル島
SRPからシェル島に第三のメイン橋がかかる。すでに一部で工事が開始したと聞くが、その姿が見ることができるのは数年後。

日本とセブをつなぐNew Bridgeは 未来への始まりに過ぎません。

SMシーサイドモール
第三の橋がかかるセブ島側の近くにあるアジア最大級のショッピングモール。このエリアには高層マンション群の計画がある。

日本とセブをつなぐNew Bridgeは 未来への始まりに過ぎません。

サンペドロ要塞
セブ市の有名な史跡。その景観を壊さないためにと、日本企業が作ったトンネルは、この地下を走っている。

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