Column コラム

セブ人の誇りが生み出す最高級のギター

© CEBU navi SAKURA | vol.12 Nov.-Dec.2017

島の経済を支える 主要産業の一つ、 ギター産業

セブ人の誇りが生み出す最高級のギター

古くから音楽を愛し、音楽を生活の中に取り込んで暮らしてきたセブアノたち。そんな彼らが作るギターは、最高級のギターとして世界でも有名です。セブのギター産業は数十年の間で一気に成長し、今では島の経済を支える主要産業の一つとなっています。

では、セブのギター産業はいつ頃始まったのでしょうか。ときは、セブがまだスペインの植民地だった時代、スペイン人修道士によって「キタラ」というメキシコ産の弦楽器が伝えられました。これが現在の「ギター」の根源。当時セブアノの間では「ギター」または「ギタラス」と呼ばれていたそうです。ときが経てば当然弦楽器は消耗し、修理が必要になります。でも、修理のために海を越え、メキシコまで持っていくというのは現実問題として難しいことでした。そこで、自分たちでギターの修理や複製品を作ることは出来ないかと考えます。そして、「これはいいビジネスになるぞ!」と一念発起。こうしてセブ島・マクタン島の最も古い産業の一つであるギター産業が始まったのです。

マクタン島で作られているのは伝統的な技術による手作りのギターや弦楽器。それらギターやウクレレ、バンジョーなどは地元で使われるのはもちろん、イギリスやアメリカ、他のアジア諸国などにも輸出されています。輸出数は4半期で約30万個と、かなりの数であることが分かります。現在、世界的には経済低迷と言われる時代ですが、ギターをはじめその他弦楽器の需要は国内国外問わず増え続けており、ギター産業は安定した産業として地元に根付いています。

マクタン産のギターは世界中の人たちに愛されており、ギター好き曰く「マクタンのギターを使うと自然と旋律が生まれる」のだとか。そんな人気の秘密はどこにあるのでしょうか?
マクタン産のギターに欠かせないのが「良質な素材」「繊細なデザイン」「弦楽器職人たちの伝統技術」です。

なかでもよい楽器の基本となるのが良質な素材。マクタンで作られる弦楽器は、地元産の木材と輸入された木材の両方を使って作られています。地元で使われるギターには、マホガニー、アカシア、マンゴーといった地元の木が使われ、外国へ輸出するためのギターにはヒマラヤスギ、シタン、コアアカシアなど輸入された木が使われます。これは国外にギターを輸出した際、その国の気候によってギターの形が変形するのを防ぐため。楽器も生き物と同じように、その土地の環境に合っていることが大切なのです。

実際、マクタン島ではどんな風にギターが作られているのでしょうか。マクタン島のパジャック、アブノ地区にあるギター工場でギター作りの現場を覗いてみましょう!

セブ人の誇りが生み出す最高級のギター

「ザ・ニュー・スーシングスギター」のギター製作工程

初めて見るギター作りの工程。 熟練の職人達の技を肌で感じる。

セブ人の誇りが生み出す最高級のギター

今回は、パジャックにある、マクタン島の中でも特に有名で長い歴史を持つギターメーカー「ザ・ニュー・スーシングスギター」の工場を訪れました。

スーシングスギターでは、海外に輸出するためのアコースティックギターやウクレレのほか、お客さん一人ひとりの要望にあわせたカスタマイズギターを製作しています。標準のギターが数日で出来上がるのに対し、カスタマイズギターやウクレレは3~4週間時間がかかるので、欲しい場合は早めにオーダーしておくのがオススメです。

こちらの工場では、スタッフの案内の下、どのようにギターが作られていくのかを見学することができます。工場では、木材の裁断に始まり最終の品質チェックまで、職人たちが一つひとつ手作業でギターやウクレレを製作していました。ただの木材が徐々に形を変え、立派な一つの弦楽器に生まれ変わる様子は見ているだけでワクワクします!

工場に併設する形で直営のショップもあります。日本で買うのに比べるとかなり安い値段でギターやウクレレを買うことができるのも工場直売ならでは!お土産に一つ、マクタン名産のギターをどうぞ。

セブ人の誇りが生み出す最高級のギター

店内にはギターやウクレレのほか、チェロやマンドリンなど様々な弦楽器がずらり!工場併設のショップではスーシングスギターの商品を買うことができる。

STEP1.部品作り & 組立

セブ人の誇りが生み出す最高級のギター

ギターを作るのに必要な木材を切断し、形づくっていきます。切った後の木材は数日かけて完全に乾燥させます。完全に乾燥したら、接着剤を使って断片を接着していきます。

STEP2.磨く

セブ人の誇りが生み出す最高級のギター

すべてのパーツを接着させたら、磨きます。表面や角を砂で磨くことで、傷をなくし、不要な部分を削り取っていきます。次にニトロセルロースラッカーを塗って、自然な木の風合いに仕上げます。あるいは、デザインに応じて個々の断面にペイントを施していきます。

STEP3.品質管理

セブ人の誇りが生み出す最高級のギター

ここではパーツごとに欠損や不良点がないか、しっかり検査します。

STEP4.最終的な感触チェック

セブ人の誇りが生み出す最高級のギター

最終段階では、弦を張り、最終的な弾き心地がチェックされます。

取材協力 The New Susing’s Guitar

セブ人の誇りが生み出す最高級のギター

Abuno, Pajac Lapu-Lapu City
(032)505-0723
Factory: 8:00-17:00(Mon.-Sat.)
Shop: 8:00-17:00(Mon.-Sun.)
thenewsusingsguitar@gmail.com

アレグレギターズを訪問する

平日も見学ツアーが大人気! マクタン最大級のギター販売店。

セブ人の誇りが生み出す最高級のギター

次に私たちが訪れたのは、地元でもお馴染みのショップ「アレグレギターズ」。参加無料の工場見学ツアーは観光客からも大人気です。

アブノ地区にある緑に包まれた美しい工場。私たちが到着すると、スタッフが親切に解説しながら工場内を案内してくれました。ギターやウクレレなどの弦楽器を職人たちが作る様子を見学できるほか、ハンドメイドグッズが買えるお土産屋もあります。

ツアーのラストで案内されたショールームには、精巧に作られたギターやウクレレ、チェロやバンジョー、マンドリンにフィリピン版バンドゥリアなどあらゆる弦楽器が展示されていました。奥にはアレグレが誇る最高級ギターもあり、楽器好きならずとも一見の価値有りです!

アレグレギターズの商品は、ラプラプ市のパジャック=マリバゴロードにあるこちらの工場、またはラプラプ市のケソン国道沿いにあるショップで購入することができます。ぜひ足を運んでみてはいかがでしょう。

セブ人の誇りが生み出す最高級のギター

店内にはギターやウクレレのほか、チェロやマンドリンなど様々な弦楽器がずらり!

セブ人の誇りが生み出す最高級のギター

工場見学は職人がギターやウクレレを作っている姿を見ることができる。

セブ人の誇りが生み出す最高級のギター

お土産にぴったりのカラフルな楽器も発見!

取材協力 Allegre Guitars

セブ人の誇りが生み出す最高級のギター

Main Branch:
Abuno, Lapu-Lapu City
(032) 238-5755
8:00-18:00(Mon.-Sun.)
alegreguitar@yahoo.com.ph

Branch:
M.L Queszon
St.,Lapu-Lapu City
(032)260-7621
8:30-17:00(Mon.-Sun.)

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